2026/05/17 16:53

漆器は、数百円から買えるものもあります。


スーパーや雑貨店で見かける和風のお椀。
こちらは「合成漆器」と呼ばれ、プラスチック素材にウレタン塗装などを施したものです。


電子レンジOK、食洗機OK。
軽くて扱いやすく、価格も手頃。


忙しい毎日の中では、正直かなり便利です。


だから、「安いもの=ダメ」では全然ありません。
むしろ、“気軽に使える”って、とても大事な価値だと思います。


一方で、天然木に本漆を塗り重ねた漆器は、目指しているものが少し違います。


それは、“便利さ”とは少し違う、
「使った時の心地よさ」


木ならではの軽さ。
口をつけた時のやわらかさ。
熱い汁物を入れても、手に熱が伝わりにくい。

そして、使うほど艶が深くなっていく変化。


これは、実際に毎日使ってみると驚く人が多いんです。


しかも不思議と、いつものご飯なのに、少しだけ丁寧な時間に感じたりするんです。

これは高級感というより、“素材そのものの心地よさ”なのかもしれません。


本漆の器は、塗って終わりではありません。
塗って、乾かして、研いで、また塗る。
そうした工程を何度も重ねて、ようやく完成します。


だから価格には、“モノの値段”だけではなく、時間そのものが含まれています。


もちろん、最初から高価な漆器を選ばなくても大丈夫。
むしろ最初は、「ちょっと気になる」くらいで十分だと思うんです。


でも一度、手に馴染む木の椀で味噌汁を飲むと、
「あれ、いつものご飯なのに妙に落ち着くな」って感じたりする。


漆器って、そういう“小さな体験”から、じわじわ好きになる道具なのかもしれません。